肌荒れ改善に!美肌を作るオメガ3系脂肪酸を含むオイル5選

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油と聞くと「高カロリーだから太る」という悪者のイメージがありましたが、実は今、そのイメージが一変しているのをご存知ですか?
油は細胞膜を構成する重要な成分で、良質な油は美肌に欠かせない成分です。例えばスーパーにも、亜麻仁油やココナッツオイルなど、美容に良いとされる高級な油がずらりと並んでいます。でも質の悪い油は肌やカラダをサビつかせ、老化の原因になってしまうのも事実。選び方・摂取の仕方によって美肌の救世主・美肌の大敵のどちらにもなり得るものなのです!そこで今回は、管理栄養士のせーかさん。力武ひかりさんにアドバイスをいただきつつ、油の正しい選び方と摂取法についてご紹介します。

話題の「オメガ3系脂肪酸」の「オメガ」の意味と栄養


油(脂質)
は細胞膜を構成する重要な成分です。脂質はたんぱく質・糖質と共にカラダの3大栄養素で、脂質が不足しすぎると、シワ、シミ、タルミなどの原因となってしまいます。良質な脂質を適度に摂取することは、健康と美肌に欠かせない要素です。
脂質を構成する脂肪酸の中で、今回は肌と関わりが深いオメガ3系脂肪酸に注目します。オメガ3系脂肪酸の代表的な脂肪酸はα-リノレン酸で、人の体内でつくることができない必須脂肪酸のひとつです。α-リノレン酸は、体内に入ったあと、代謝されてドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)となります。
オメガ3系脂肪酸は血中の中性脂肪を減らす働き、肌を若々しく保つセラミドを生成してシミの原因となるメラニンを抑制する効果が期待されています。そのほか、血流促進・美肌効果、動脈硬化の改善、脳の活性化、抗酸化、アレルギー疾病の軽減、メンタルケア(不安障害・うつ病)、認知症の緩和などに効果があると言われています。

「オメガ」の意味

ちなみにオメガ(Ω/ω)とは、ギリシャ文字(アルファベット)の最後の文字です。英語で言えば“Z”ですね。ギリシャ文字(アルファベット)の1番目はα(アルファ)、2番目はβ(ベータ)なので、科学や栄養学ではギリシャ文字を使うケースが多々あるんだなということがわかります。ちなみに「オメガ」と名前のつく脂肪酸は、オメガ3系脂肪酸のほか、オメガ6系・オメガ9系脂肪酸があります。


脂肪酸は
炭素(C)水素(H)酸素(O)の3つの原子で構成され、炭素が隣どうし手をつないでチェーン(鎖)のように長くつながっています。その一方の末端(上の図では右端)にはカルボキシル基(COOH)が付いていて、デルタエンドと呼びます。その反対側の末端にはメチル基(CH3)が付いていて、オメガエンドと呼ばれます。オメガの後の3・6・9などの数字は「オメガエンドの炭素(C)から数えて、最初の二重結合が何番目にあるのか」ということを表しています。
オメガ6系脂肪酸の代表的な脂肪酸はリノール酸です。こちらも必須脂肪酸のひとつで、血中のコレステロール濃度を下げると言われています。オメガ9系脂肪酸の代表的な脂肪酸はオレイン酸。オレイン酸は油から取り入れるほか、体内でも合成されます。血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロール濃度を下げると言われています。代表的な油にオリーブオイルがあります。オレイン酸には酸化しにくい性質があり、加熱調理に向いています。

肌荒れ・乾燥肌を防ぐオメガ3系脂肪酸オイル5選

①亜麻仁油


亜麻とは、アマ科の一年草です。茎の繊維は非常に丈夫で通気性や吸湿性が優れていることから、古くから高級リネンとして利用されてきました。日本では、最近になって健康効果に注目が集まっていますが、西洋医学の父・ヒポクラテスの医学書には、亜麻仁には整腸作用があることが記されており、西暦800年代にはフランスのシャルルマーニ大帝が「臣民は亜麻仁を摂るべし」と亜麻仁の摂取を法令化するなど、ヨーロッパでは古くから健康効果が認められています。

亜麻仁油には、ポリフェノールの一種の「リグナン」という成分が含まれています。リグナンは、抗酸化物質として働く「植物エストロゲン」として知られています。欧米では、この「リグナン」の抗がん作用をはじめとする多くの有用性に対する関心が高く、研究事例も多いと農林水産省資料にも紹介されています。リグナンは腸内細菌によって「エンテロラクトン」に代謝されることが知られています。このエンテロラクトンは、植物由来の女性ホルモンのような働きをする植物エストロゲンの1種です。植物エストロゲンは、乳がん、冠動脈疾患、腸がんなどのリスクを低下する効果を有することが報告されています。(日本農林水産省資料より http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010753234.pdf

②えごま油(またはしそ油)


えごまはバジル、ローズマリー、セージ、ミントなどと同じシソ科のミント種になります。そのえごまの種子から搾取されたものが、えごま油です。えごま油には「ルテオリン」「ロズマリン酸」というポリフェノールが含まれています。ルテオリンには強い抗炎症作用が期待されていて、アレルギー性疾患や脳炎症を抑える効果があるほか、老化の原因となる活性酸素を抑えるといった抗酸化性も含まれています。ロズマリン酸は、エネルギー消費を促進するためダイエットに効果的で、アレルギー症状を緩和する作用があるとされています。

③インカインチ油


インカインチはペルーのアマゾン熱帯雨林原産のトウダイグサ科の常緑ツル性植物。「グリーンナッツ」とも呼ばれる星型の緑色の実からとれるオイルです。オメガ3系脂肪酸を含むオイルの中では、熱に強く酸化しにくいオイルとして注目されています。その理由は、γ‐トコフェロール(天然ビタミンE)が豊富に含まれているから。亜麻仁油、えごま油に比べ、抗酸化力にも優れています。

④ヘンプシード油(ヘンプオイル・麻の実油)


ヘンプシードオイルは、麻の実から作られるオイルです。ヘンプシードオイルの一番の特徴は、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の比率が理想に近い1:3になっていること。バランスがとれたオメガ脂肪酸は、血中コレステロールを低下させます。これは血栓を防止したり、動脈硬化や脳梗塞のリスク軽減につながります。

⑤青魚(イワシ、サンマ、サバなど)の油


「青魚を食べると頭がよくなる」と言われますが、これは、青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)のおかげです。DHAはグルタミン酸を受けるNMDA受容体の働きを促進するため、このNMDA受容体の働きが活性化することで学習や記憶に関与する神経細胞間の信号伝達に持続的向上を誘発し、記憶力が良くなると言われています。同じく青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)は体の中でプロスタグランジンという物質に変化し、これが血液を固まらせにくく、血液をさらさらにすることから、抗血栓作用の効果が期待されています。

良質なオイルの選び方


オメガ3系のオイルは酸化しやすいデリケートな油です。購入する際には光を通さない遮光瓶に入っているものを選びましょう。低温圧搾法(コールドプレス)と書いてあるものがおすすめです。低温圧搾法でない油は、圧搾機で高圧をかけて溶剤で抽出し(溶剤抽出法)、その溶剤を蒸発させる際に高温になるため、ビタミンやミネラルなどの栄養素が失われ、トランス脂肪酸などの有害物質を含んだ油になってしまいます。
酸化しやすいオメガ3系のオイルは、保存方法がとても重要です。温度が低く、光の当たらない冷暗所で保存しましょう。

コレステロール値を整えるオメガ9系脂肪酸

オメガ9系脂肪酸は消化吸収を助ける働きがあるため、肌に良い食べ物と一緒に摂取することで、効率よく栄養を吸収することができます。便秘解消にもおすすめです。
オリーブオイル、アボカド油、菜種油などは酸化しにくいため、加熱して料理に使うのに向いています。オリーブオイルは品質のばらつきが大きいので、酸度0.8%以下のものが理想です。製造年月日の新しいものを選ぶようにしましょう。
また近年人気が高まっているココナッツオイルは、オメガ9系以上に熱に強いとされる油で、加熱調理に向いています。また、代謝が早くエネルギーになりやすい天然成分「中鎖脂肪酸(MCT)」が主成分のため、脂肪になりにくい上に、脂肪を燃焼させる効果・活性酸素を防ぐ効果も期待されています。

良質なオイルの食べ方は「生」がベスト


良質な油はなるべく加熱せず、フレッシュな状態で美肌の有効成分をそのままに摂取しましょう。油にこだわるほど、美肌につながるといっても過言ではありません。1日の摂取量の目安はティースプーンに1〜2杯。良質な油は、サラダの上からトロッとかければそれだけでコクが増して、ご馳走感がアップします。豆乳、味噌、酢と合わせてドレッシングにするのもおすすめです。意外な摂取法として、ホットコーヒーに*MCTオイルをプラスする「MCTオイルコーヒー(バターコーヒー)」も話題です。
*MCTオイルとは、ココナッツオイルやパーム核油から中鎖脂肪酸のみ抽出したオイル。

α-リノレン酸ドコサヘキサエン酸(DHA)多価不飽和脂肪酸と呼ばれ非常に酸化しやすいため、酸化を防ぐビタミンEビタミンC、βカロテンなどの抗酸化性ビタミンと一緒に摂取するのがおすすめです。こうした点から植物性油脂そのものにも、抗酸化剤としてビタミンEが含まれていることがあります。

一緒に摂取したい食材
ビタミンE…アーモンド、落花生などのナッツ類
ビタミンC…果実類(アセロラ、イチゴ、オレンジなど)、野菜類、イモ類
βカロテン…ニンジン、サツマイモなど

野菜たっぷりのサラダに、良質なオイルを使用したドレッシングをかけてナッツなども振りかけて食べると良いですね♪

摂取を避けた方が良い油

酸化した油

外食、お惣菜、お弁当などで使用されている油はオメガ6系(紅花油、ひまわり油、コーン油、大豆油など)が大半です。ちなみによく見かける「サラダ油」とは、指定された9種類の原材料〈紅花、ひまわり、コーン、大豆、菜種(キャノーラ)、綿実、ゴマ、米、落花生〉のうち、いずれかを用いた油を総称したものです。主流である菜種(キャノーラ)油を指して、サラダ油と呼ばれることが多いようです。オメガ6系脂肪酸のほとんどはリノール酸で必須脂肪酸なのですが、最近では摂りすぎると細胞を傷つけてしまうことがわかり、過剰摂取を控えるように推奨されています。
お惣菜・お弁当・加工食品など加熱され時間がたった油は酸化が進んでしまいます。酸化した油は、肌やカラダをサビつかせ、老化させる活性酸素の発生の要因になります。また、腸の悪玉菌を増やす原因ともなり、腸内を腐敗へと導く「美容の大敵」なのです。ポテトチップスなどに多いパーム油も、非常に酸化度の高い油だと言われています。

トランス脂肪酸


市販されているマーガリンやマヨネーズ、ショートニングなどに含まれている「トランス脂肪酸」を含む油は、細胞をサビつかせる原因になると言われています。このトランス脂肪酸とは、通常は液体で安定状態を維持する油に水素を添加することで人工的に固体の状態に保っているものです。トランス脂肪酸は体内で代謝されにくく、さまざまな血管病の原因になったり、炎症を引き起こすと言われています。成分表示には「植物油脂」と書かれていることも多いので、避けるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
今までは亜麻仁油などを見かけても「なんて高級な油なんだ!」と思い、なかなか手が伸ばせなかった私ですが、こうして見ていると「良質なオイルは極上の美容液・美容食なんだな」と思えてきて、積極的に摂取しようと思いました。食生活でもオイルの特性や効能を知り、上手に活用して乾燥知らずの美肌を手に入れましょう♪

〈参考〉
木下あおい(管理栄養士)『食べるほど「美肌」になる食事法』大和書房,2016年

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Kiranah Life(キラナライフ)編集部

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