眠った力を呼び覚ます!間接的に働く抗酸化物質~分類編~
これまでキラナライフでは様々な抗酸化物質を取り上げてきましたが、今回は新たなカテゴリーとして近年注目されている”間接的抗酸化物質”を2週にわたってご紹介します。
目次
- 抗酸化物質の分類
- さいごに
抗酸化物質の分類
抗酸化物質とは、体内に存在する活性酸素種を分解する成分、もっと簡単にいうと酸化を防ぐ成分のことを言います。
活性酸素種については、抗酸化物質とともに以前の記事でご紹介しています。
生活習慣病やガンの原因にも!体を守り破壊する活性酸素
この抗酸化物質ですが、すべてが同じような働きをするわけではありません。
その機能によって分類することができます(2009年、中村)。
内在性抗酸化物質
1)抗酸化酵素
カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、ペルオキシダーゼ等
2)非酵素タンパク質
アルブミン、トランスフェリン、メタロチオネイン等
3)抗酸化低分子化合物
グルタチオン、尿酸等
外来性抗酸化物質
4)直接的抗酸化物質
ポリフェノール、カロテノイド等
これらは、活性酸素種、またはフリーラジカルのような対をなしていない電子をもつ原子や分子を捕捉して安定化します。
5)キレート性物質
クエン酸、トランスフェリン等
活性酸素種生成を増幅させる金属イオンを捕捉して安定化します。
6)酸化酵素阻害剤
抗炎症剤等
活性酸素種の生成を直接阻害します。
代表的なものに、抗うつ剤、抗パーキンソン病剤としても使われるモノアミン酸化酵素阻害薬というものがあります。
7)間接的抗酸化物質
様々な抗酸化酵素、抗酸化タンパク質や低分子抗酸化物質を体内で作り出すための遺伝子発現を誘導する物質のことをいいます。
上記の様に、大きく分けると私たちの体内に存在する内在性と、食事などで取り入れる外来性に分類されます。
さらにその働きや構造から細かく分類されています。
その中でも注目されているのがさいごに登場した”間接的抗酸化物質”です。
私は今まで、1)~6)のように活性酸素種やその発生原因に対して直接的に関与するという作用機構に注目していました。
しかし、最近の研究により、抗酸化物質が間接的に作用し活性酸素種を分解するという機構が明らかになってきました。
さいごに
このように抗酸化物質といっても体内で作られるもの、食事などで摂取するもの、また働きなどにより違いがあるということがお分かりいただけましたでしょうか。
今まで主に研究されていたのは直接的な抗酸化作用かと思いますが、間接的な作用にも注目が集まっています。
次回は、そんな間接的抗酸化物質の作用機構と含まれる食品についてご紹介します。
参考文献
中村宜督. 食品に含まれる生体防御活性化物質. New Food Industry, 2009, 51.9: 29-39.
中村宜督. 抗酸化酵素の転写調節を可能にする食品成分. Agricultural Biotechnology, 2018, 22: 2-33
matsuki_takahiro
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